ひよこらぼ

自作のTSF小説(変身・憑依・入れ替わり等によって性転換する小説)を掲載していく予定です。

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解決屋(中編)

 5分ほど離れたところにある雑居ビルの二階に俺の事務所がある。部屋の中にはデスクが3つ、そしてパーテーションを挟んで、来客用のソファーとテーブルがある。
「ふう、やっぱりここは落ち着くな」
 俺はソファーにもたれかかる。助手は事務所に隣接している給湯室でお湯を沸かしに行った。





(あの人、かっこいいですよね)
「何だ、彼氏がいるのに他の男を狙ってるのか?利穂子ちゃんは見かけによらず、肉食なんだな」
(違います!さっきは私を助けてくれたし、あくまで一般的な話で……ってさっきはあの人が助けてくれなかったらどうするつもりだったんですか!?)
「だって、利穂子ちゃんの体、力が無いもん。腕だってこんなに細いし、足は太い……いや、筋肉がついてないし」
(バカ!)
「何やってるんですか、所長?」
 いつの間にか紅茶セットを手にした助手が後ろにいた。
「いや、利穂子ちゃんがお前のこと……」
(わー、な、何でもないです)

「では、改めて……、うーん、何だか話しづらいな。よし、姿見を持ってきてくれ」
「はい、わかりました」
 姿見をソファーの前に置く。姿見には制服姿の利穂子ちゃんと助手が映っていた。
「これで、利穂子ちゃんと話しているようになったかな。……それでは、コホン」
 咳払いをして、俺は姿見の前の利穂子ちゃんに向けて話しかけた。
「ようこそ、俺の事務所へ。俺は兵藤太一。解決屋という仕事をしている。で、こっちが助手の三神だ」
「三神です」
(兵藤さんに三神さんですね)
「あー、三神。もういつもの喋り方に戻っていいぞ。疲れるだろう、営業モードは」
(いつもの?営業モード?)
「あー、つかれたわー。アタシ、無理して男言葉しゃべるの苦手なのよ」
 今までの態度からころっと変わり、しなを作ってオカマ言葉で喋りだす三神。
(え……)
 絶句する利穂子ちゃん。
「所長がうらやましいわ~、こんなかわいい女の子になっちゃって~」
 俺の顔をべたべたと触りだす。
(ひぃ……!?)
「さらさらした髪、ぷるんとした唇、化粧のノリもよさそうなティーンエイジャーのハリのある肌……、きー、くやしいわ」
「おい、落ち着け」
 このままだと何だか大変なことになりそうなので、軽く頭を叩く
「いったーい。……ごめんね、取り乱したわ」
(えーと、あの……)
「こいつはいわゆるオカマ…」
「オネエ系って呼んで!」
「……オネエ系だ。俺の能力を自分のものにして、美しい女になるために、俺の助手になったんだ」
(そう……なんですか……)
「心が折れそうなのは分かるが、話を進めるぞ。三神、利穂子ちゃんの彼氏のことについて分かったことを教えてくれ」
「いいわ。調べてくれって頼まれた、岸波宏茂のことだけど……」
 小さな手帳を取り出し、ぱらぱらめくる
「岸波宏茂、28歳。高校教師。勤め先は利穂子ちゃんの通っていた高校よ」
「ちょ、ちょっと待ってくれ。利穂子ちゃんの彼氏だろ。先生ってことは…」
(私、岸波先生と付き合っていたの!)
「教師と生徒の禁断の恋……、いいわねぇ」
「詳しく話してくれないか。利穂子ちゃんがこの世に執着してる理由がこの男にはあるんだろ」
(私、両親がいないんです。施設で育って。あの人はそんな私を気にかけてくれて。そして私が一度ストーカー被害に遭ったことがあって、そのときもとても親身になってくれて。気づいたらもうあの人しか見えなくなって、私から告白してました。だけど最初は隠れて付き合っていたんです。周りの目があるから。でもこのままじゃいけないって、あの人が)
「それで…先生は何て?」
(同棲しようって。あのアパートを借りてくれたんです)
「あん、ロマンチックだわ~」
「なるほど」
(それで、初めて同棲する日、私が先にアパートに着いたんですけど、なかなかあの人が来なくって、やきもきして外へ様子を見に飛び出したんです。その時に運悪く車が……)
「自分の死因は覚えているんだな。自縛霊には珍しいことだな」
「それだけ一途な愛ってことなのよ」
(気がついたら私は幽霊になっていてあのアパートから抜け出せなくなっていました。それでもずっとあのアパートで待っていたんです。でもあの人は一度も来なかった……)
「つまり、岸波先生と一緒に同棲生活がおくれなかったということが心残りだと」
(はい……。お願いします、私をあの人のところへ連れて行ってくれませんか?)
「わかった。……でも、ある程度心しておいて欲しい」
(え? それはどういうこと……?)
 とその時。
――ぐきゅる~~
 盛大に俺のお腹が鳴った。そういやもうお昼だ、憑依していてもお腹は減るんだな。
(え? あ……)
 恥ずかしそうにする利穂子ちゃん。
「お昼、食べてからにしない?」
「そうするか」
(はい……)


「はい、お待ちどうさま」
 いつもお昼は外で食べるか、助手が用意してくれる。今日はメニューはパスタだ。だが。
「えー、これだけ?」
 俺の前に盛り付けられているパスタ。いつも食べている量の半分くらいしかない。
「いいのよ、多分それで十分だから」
「ちぇ、何だよー、経費削減かよ」
 軽く文句を言いつつ俺はパスタを食べ始めた。口にしようとした時、急に視界の端を黒いものが覆った。
「うおっ、何だ何だ?」
「髪の毛が垂れ下がってるのよ。いつものように犬食いしてるから。ほら、髪の毛がよごれちゃったじゃない」
 助手が俺の髪の毛についたソースをふき取る。
「どうやって食えば良いんだよ!?」
「普通に一口分フォークに巻きつけて口まで持ってこればいいのよ。お上品に」
「お上品って……、長い髪も考え物だな。見るのは好きだけど、なってみるとこんなに大変だなんて」
 いつものようにがっつり食べたいのを我慢して、言われたとおりに食べる。しかし食べづらい。
「あー!」
「え、何だ?」
「たれちゃってるじゃない!ソースが服に」
 そう言われ目線を下に向けると確かにパスタソースが制服のジャケットの胸部に着いていた。
「おお、おっぱいでキャッチしている」
「バカなこと言ってないで、早く脱いで、染みになっちゃうわ」
 ジャケットを脱ぐ。助手はそれを持って給湯室に向かった。

(兵藤さんに三神さんって面白いですね)
 今まで黙っていた利穂子ちゃんが話しかけてきた。
「面白い?どこが?」
(さっきのやりとり。仲が良いんですね。夫婦みたい)
「勘弁してくれよ…、男同士で……って、そうか今は肉体的には夫婦になれるのか。女子高生の嫁か。良いな。お帰りなさい~旦那様~とか」
(どちらかというと三神さんのほうが嫁という感じでしたけどね。だらしない夫の世話を焼く)
「くっ……、何か動じなくなったね、利穂子ちゃん」
(もう慣れました。兵藤さんの性格にも)
 何て順応性の高い娘なんだ。俺としてはセクハラ的なことをされてきゃーきゃー言ってもらったほうが嬉しいんだが。
「何とか染みにならなかったわよ。はい」
 制服のジャケットを帰される。
「女の子の制服って値段が高いんだから。汚しちゃもったいないわよ」
 男女で制服の値段に差があるのだろうか。何故、そのことを助手が知っているのかという疑問はあるが、スルーしておこう。

「お腹いっぱいだー」
 少ないと思っていたパスタも、全部食べきるとちょうど良い量だった。
「だから言ったでしょ。所長は今、女の子なんだから」
「これだけの摂取量で動くことが出来るのが不思議だ。女の子の不思議をまた一つ知ってしまったよ利穂子ちゃん。……あれ、利穂子ちゃん?」
 利穂子ちゃんの反応が無いので少し驚く。
(あ、すみません。久しぶりに満腹っていう感覚に浸ってました……)
「どういうこと?」
(幽霊ってお腹減らないんです。だから死んでから何も食べていなかったんですよ)
「そうなんだ、何だか気持ちを共有できて……利穂子ちゃんと一つになれてうれしいよ」
(わざわざ気持ち悪く言い直さないで下さい)

「さて、そろそろ行くか」
 満腹感も少し薄れた頃、俺はおもむろに立ち上がった。
「岸波先生の所ね。どこへ行くつもりなの?」
「利穂子ちゃんの学校に行こうと思う。今の時間だと学校で授業しているだろう。この格好だと怪しまれずに入れるし」
 制服姿を見せびらかすようにくるっと廻る。
「そうね。あー、くやしいわ。私も若い学生を間近で見たいのに」
「間違っても、お前は入ってくるなよ」
(兵藤さんも変なことしないで下さいね)


「ふっふっ。ついに来たぜ……」
 俺は校門の前でニヤついていた。高校に来るなんて10年ぶりぐらいだろうか。時刻は16時くらい。授業を終えて帰る人、部活をする人など様々な学生が校内にあふれている時間帯だ。
「いやー、助手じゃないけど若いっていいね。まあ今の俺も若くてぴちぴちの女子高生だけど」
(表現が古すぎますよ)
「言ったな……。よーし、この体を利用して俺のやりたいようにやってやる」
(え、ちょっと!?)
 俺は一目散に女子更衣室に向かう。男では入れなかった魅惑の場所。だが今の俺なら入っても何も言われない。
「失礼しまーす」
 部屋の中。見た目は男の更衣室と変わらないが、ほのかにフローラルな残り香が――って
「誰もいない……」
(ここは、体育の時に使う更衣室ですから、授業が終わっている今は誰も使わないんですよ。残念でしたー)
 利穂子ちゃんが嬉しそうに話す。
「くそっ、知ってて黙っていたな……、いやでもさっきまでここで女子高生が着替えていたのは事実。こうなったらこの残り香を全部吸い込んで……」
(……変態)
「ごめんなさい。ほんの冗談です」
 テンションが上がりすぎたようだ。これ以上利穂子ちゃんに蔑まれないように、当初の目的を果たさないと。

 まずは職員室の中の様子を伺う。堂々と中に入らないのは、岸波先生と鉢合わせたときに厄介だからだ。死んだ人間が目の前に現れるんだからな。
「岸波先生はいないか」
 近くにいた先生に岸波先生のことを尋ねてみると、生徒に呼ばれてどこかに行っているそうだ。
「うーん、どこにいるんだろうか」
 俺は運動部の女子を凝視しながら、岸波先生を捜していた。走るたびに大きく揺れる胸。俺は自分の胸を見る。さすがにこれじゃ揺れないよな。
(真面目に捜してますよ…ね?)
「…!? ああ、もちろんだ。……ってあれは?」
 俺は校舎裏に歩いていくスーツ姿の男を見つけた。
(あ、あの人です。あの人が岸波先生です!!)
「よし、追うぞ」

 岸波先生を追って校舎裏に向かう。人気の無い校舎裏。まるで人目を避けるようにしているようだ。そこには岸波先生と――女子学生がいた。
「岸波センセっ」
 そう言うとその女子学生は岸波先生に抱きついた。岸波先生に隠れる形で顔は見えないが、身長は利穂子ちゃんと同じくらい。ショートカットの女の子だ。
「学校ではあまり目立つようなことはしないようにしようって言っただろ」
 岸波先生が言う。
「だって、好きなんだもん。先生のこと。家だけじゃ満足できない」
 女の子が岸波先生に近寄る。家だけで満足できないってどういうことだ。やつはあの娘と同棲してるのか。
「卒業するまで秘密にするっていつも言ってるじゃないか」
「そんなの関係ないでーす」
 そう言うと女の子は岸波先生に抱きつき、キスをした。この2人、付き合っているのか。状況が利穂子ちゃんのときとまったく同じだ。

(……許さない)
「んっ?」
 俺の中にどす黒い感情が渦巻く。これは非常にまずい状況だ。
(何で……、私のこと好きだって言ってくれたのに……他の娘に…)
 俺は利穂子ちゃんの呟きを無視するように、2人に見つからないようにその場を立ち去る。
(何で逃げるの!私をあの人の所へ連れて行ってよ!!)
 すごく強い力。いや、利穂子ちゃんの強い意思が、俺の体を駆け巡る。体が重い。気を抜くと利穂子ちゃんに主導権を奪われてしまいそうだ。
(何で! 何でよ!!)
 俺は携帯を取り出し、助手に連絡する。
「スマン、ちょっと面倒なことになった。車で校門前まで迎えに来てくれ」
(いやあああああ……)
 頭の中では利穂子ちゃんの悲痛な叫びが響いていた。



つづく


後味の悪いところで終わっています。
それに全然解決していませんね。むしろいろいろこじれてしまっています。
しかし、後編では一気に解決に向かう予定ですので楽しみにしてて下さい。

それでは。
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コメント

続編待ってました。なんかドロドロしてきましたね。GOODです。解決篇は、TS的においしい方法を期待します。

  • 2011/01/31(月) 21:15:12 |
  • URL |
  • HBBH #-
  • [編集]

なにやら不穏な空気に・・・
ここからどうなるのか楽しみです。

  • 2011/02/02(水) 14:58:51 |
  • URL |
  • ヒト #-
  • [編集]

>HBBHさん
あえてドロドロしたところで止めています。
解決編はTS的においしい展開になるように頑張りますね。

>ヒトさん
後編ではこの空気をすっきりと
解決していけたらと思っています。

  • 2011/02/02(水) 22:11:08 |
  • URL |
  • ひよとーふ #-
  • [編集]

はじめまして、かじゃです。
TS小説としてはかなり読みやすくてしかも面白いです!
続編待ってます!

  • 2011/02/14(月) 14:54:51 |
  • URL |
  • かじゃ #-
  • [編集]

>かじゃさん
初めまして!
読んでいただいてありがとうございます。
面白いと言ってもらってうれしいです。
続編は、少し難航していますが、すっきり終わらせたいと思います。

  • 2011/02/16(水) 00:12:07 |
  • URL |
  • ひよとーふ #-
  • [編集]

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