「すいません……、少し熱っぽいみたいなんですが……」
俺、平田のぞみはそう言って保健室のドアを開けた。
「あら、それじゃあ熱を測ろうかしら」
そういって保険教諭の先生、永田美幸先生が体温計を差し出す。
「はい、わかりました」
俺は、リボンタイを緩め、ブラウスのボタンをはずして体温計をわきに入れた。チラッとピンクのブラが見える。
熱があるというのは嘘だ。風邪も引いていない。じゃあ何故そんな嘘をついたのか、それは……
――ピピッ
体温計のアラームが鳴り、永田先生が俺に近づいてくる。体温計を取って画面に眼を向ける。その瞬間を狙って隠していた憑依バーを永田先生にくっつけた。
[“憑依バー3”の続きを読む]
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憑依バーの続編になります。
あたしは平田のぞみ、高校1年生。
でもちょっと前まであたしは…いや、俺は冴えないサラリーマンだった。
町で偶然拾った相手に憑依できる棒。俺は憑依バーと呼んでいる。
これで俺はのぞみちゃんに憑依し、
そのままのぞみちゃんとして成りすましている。
憑依した体の記憶が読めるため、怪しまれることはない。
[“憑依バー2 前編”の続きを読む]
「ふう、疲れたな」
今日も退屈な仕事を終えて家に帰るために重い足取りで駅へ向かっていた。
「ん?なんだこれ?」
道端に小さな棒が落ちていた。
両端には丸いものがついている。
見るからにドラえもんの道具であるトッカエバーにそっくりだった。
[“憑依バー”の続きを読む]